出産手当金と出産育児一時金の受給条件・金額・申請方法を解説

出産を控えている方、または出産されたばかりの方にとって、経済的な不安は大きな課題の一つです。
出産に関わる様々な給付金制度の存在はご存知かもしれませんが、その詳細や制度間の違いについては、いまいち理解できていない方も少なくないのではないでしょうか。
そこで、今回は「出産手当金」と「出産育児一時金」という2つの制度について、それぞれの特徴を解説し、両者の違いを明確にいたします。

出産手当金について

出産手当金の概要と目的

出産手当金は、会社員が健康保険組合に加入している場合に、出産によって仕事ができなくなった期間に対して支給される給付金です。
その目的は、出産による経済的な負担を軽減し、安心して出産・育児に臨めるよう支援することです。
具体的には、出産前後の一定期間の休業中の賃金の一部を補償する制度として機能しています。
支給額は、健康保険組合によって異なり、標準報酬日額や休業期間に応じて計算されます。

支給対象となる従業員

出産手当金の支給対象となるのは、健康保険に加入している被保険者である女性従業員です。
ただし、会社に雇用されている期間や、出産休暇取得の条件などを満たす必要があります。
具体的には、健康保険の被保険者期間が一定期間以上であること、出産休暇を取得していることなどが条件として挙げられます。
会社によっては、独自の規定を設けている場合もありますので、詳しくは勤務先の担当者にご確認ください。

支給額の算定方法

出産手当金の支給額は、健康保険組合が定めた算定方法に基づいて計算されます。
一般的には、標準報酬日額の一定割合を、出産休暇中の日数分支給する形となります。
標準報酬日額とは、健康保険料の算定に用いられる金額であり、個々の従業員の賃金に応じて異なります。
具体的な計算方法は、各健康保険組合の規定に従いますので、ご自身の加入している健康保険組合に問い合わせて確認することをお勧めします。

申請に必要な書類と手続き

出産手当金の申請には、健康保険組合が指定する申請書と、出産証明書などの必要書類を提出する必要があります。
申請手続きは、通常、出産後、一定期間内に健康保険組合に対して行います。
具体的な手続き方法や提出期限は、加入している健康保険組合によって異なりますので、事前に確認が必要です。
提出書類に不備があると、支給が遅れる場合もありますので、細心の注意を払って手続きを進めることが重要です。

出産育児一時金とは?

出産育児一時金の概要と目的

出産育児一時金は、出産に関する費用の一部を国が助成する制度です。
国民健康保険や社会保険に加入している人が対象となります。
その目的は、出産に伴う経済的な負担を軽減し、安心して出産・育児に臨めるように支援することで、健康保険組合からの出産手当金とは、給付の目的や支給主体が異なります。

支給対象となる従業員

出産育児一時金の支給対象は、国民健康保険または社会保険(健康保険・後期高齢者医療制度)に加入している妊婦です。
従業員であるか否か、あるいは雇用形態に関わらず、出産する女性であれば支給対象となります。

支給額と直接支払制度

出産育児一時金の支給額は、42万円です。
この金額は、出産費用の一部として、医療機関に直接支払うことができます。
これは直接支払制度と呼ばれ、申請者が医療機関に支払う必要はなく、医療機関と国民健康保険組合等との間で直接精算が行われます。

申請に必要な書類と手続き

出産育児一時金の申請手続きは、出産後、医療機関に必要書類を提出することで、基本的に自動的に行われます。
直接支払制度を利用する場合、申請書などの提出は不要な場合が多いです。
ただし、直接支払制度を利用しない場合は、申請手続きが必要になります。

出産手当金と出産育児一時金の違い

給付の目的と性質の違い

出産手当金は、出産による休業中の賃金補償を目的とする従業員向けの給付金です。
一方、出産育児一時金は、出産費用の一部を助成する、国民皆保険制度に則った給付金です。

支給対象となる人の違い

出産手当金は健康保険加入者である会社員が対象ですが、出産育児一時金は国民健康保険や社会保険加入者であれば、雇用形態を問わず支給対象となります。

支給額の違い

出産手当金の支給額は、健康保険組合や標準報酬日額、休業期間によって変動しますが、出産育児一時金は42万円と一定です。

申請手続きの違い

出産手当金の申請は、健康保険組合に対して行いますが、出産育児一時金は、医療機関への届け出で手続きが完了する場合が多いです。

まとめ

今回は、出産手当金と出産育児一時金の概要、支給対象者、支給額の算定方法、申請手続きについて解説しました。
両制度は、目的、対象者、支給額、申請方法においてそれぞれ異なる特徴を持つため、自身の状況に合わせて適切に活用することが重要です。
不明な点があれば、勤務先や健康保険組合、市区町村役場などに問い合わせて確認することをお勧めします。
出産を控えている皆様が、安心して出産・育児に臨めるよう願っております。

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