就業規則で副業を管理!トラブル防止策

副業が解禁され、多くの企業で副業に関する就業規則の整備が求められています。
しかし、副業を認める際の基準や手続き、社会保険や税金への影響など、人事担当者にとって不明な点も多いのではないでしょうか。
今回は、企業の就業規則における副業に関する規定とその運用上の注意点について解説します。
副業の定義からトラブル防止策まで、人事担当者の皆様が就業規則を整備する上で役立つ情報を提供します。

 

副業に関する就業規則のポイント

🔸副業の定義と許可基準

 

副業の定義を明確化することは、就業規則作成における最初のステップです。
副業とは、本業以外に有償で従事する業務を指しますが、ボランティア活動や趣味の範囲を超えるか否か、副業と本業の兼ね合いの基準などを具体的に規定する必要があります。
許可基準についても、業務時間との兼ね合い、競業避止義務の有無、本業への支障の有無など、明確な基準を設けることが重要です。
例えば、「業務時間外に行い、本業に支障がないこと」、「競業関係にないこと」、「事前に申請し、会社が承認すること」といった基準を設けることが考えられます。
曖昧な表現はトラブルの原因となるため、具体的な条件を提示することで、従業員と企業双方の理解を深めることができます。
また、副業の許可申請の方法や必要な書類についても、明確に記述しておくことが重要です。

 

🔸副業に関する届出と承認手続き

 

従業員が副業を行う際には、事前に会社への届出と承認が必要となります。
届出には、副業の内容(業務内容、勤務先、勤務時間など)、副業を行う理由、副業による収入見込みなどを記載する必要があります。
会社は、届出内容に基づき、許可基準に照らして承認または不承認を決定します。
承認された場合は、その旨を従業員に通知し、書面で記録しておくことが重要です。
不承認の場合も、その理由を明確に伝え、従業員とのコミュニケーションを円滑に進める必要があります。
手続きの流れを図解などで視覚的に示すことで、従業員の理解を促進し、手続きの円滑化を図ることができます。

 

🔸副業と業務時間・業務上の秘密保持

 

副業と本業の業務時間の兼ね合いは、重要なポイントです。
就業規則では、副業による業務時間への影響を最小限に抑えるための規定を設ける必要があります。
例えば、「本業の業務に支障をきたさない範囲で行うこと」、「残業時間や休日出勤を減らすこと」といった規定が考えられます。
また、業務上の秘密保持についても、厳格な規定を設ける必要があります。
副業先への情報漏洩を防ぐために、「業務上の秘密を外部に漏らさないこと」、「守秘義務契約を締結すること」などを規定する必要があります。
これらの規定を遵守させるためには、定期的な教育や研修を実施することが効果的です。

就業規則 副業と社会保険・税金

🔸副業による社会保険料の負担

 

副業による収入が一定額を超える場合、社会保険料の負担が発生します。
従業員は、本業と副業の合計収入に基づき、社会保険料を負担する必要があります。
人事担当者は、従業員の副業による収入を把握し、社会保険料の算定と徴収を行う必要があります。
また、副業による社会保険料の負担割合についても、就業規則に明確に規定しておくことが重要です。
従業員の負担を軽減するための仕組みや、社会保険手続きに関するサポート体制についても検討が必要です。

 

🔸副業による所得税の申告

 

副業による収入は、所得税の申告対象となります。
従業員は、本業と副業の合計所得金額に基づき、確定申告を行う必要があります。
人事担当者は、従業員に対し、所得税の申告方法や必要な書類について適切な情報を提供する必要があります。
また、必要に応じて税理士などの専門家への相談窓口を設けることも検討すべきです。
副業による税金に関するトラブルを防ぐために、従業員への教育や研修を実施することも重要です。

 

🔸副業と労災保険

 

副業中の事故や怪我については、労災保険の適用範囲が問題となります。
原則として、本業中の事故や怪我にのみ労災保険が適用されますが、副業中の事故や怪我についても労災保険が適用される例外的なケースが存在します。
就業規則において、副業中の事故や怪我に対する対応について明確に規定し、従業員への周知徹底を図る必要があります。
また、副業中の事故や怪我に備え、適切な保険への加入を推奨することも重要です。

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副業に関するトラブル防止策

🔸競業避止義務の明確化

 

副業を行う際に、競業避止義務に抵触しないように注意する必要があります。
就業規則では、競業避止義務の内容を明確に規定し、従業員に周知徹底する必要があります。
例えば、「競業関係にある企業での副業を禁止すること」、「本業と競合する事業への従事を禁止すること」などを規定することができます。
競業避止義務違反による損害賠償請求などを避けるため、明確な定義と具体的な例示が重要となります。

 

🔸情報漏洩防止策

 

副業によって、企業の機密情報が漏洩するリスクがあります。
就業規則では、情報漏洩防止のための具体的な対策を規定する必要があります。
例えば、「業務上の秘密を外部に持ち出さないこと」、「副業先との間で守秘義務契約を締結すること」、「情報セキュリティに関する教育・研修を受講すること」などを規定することができます。
情報漏洩を防ぐためには、従業員の意識改革と、情報セキュリティ対策の強化が不可欠です。

 

🔸副業に関する相談窓口の設置

 

副業に関する相談窓口を設けることで、従業員の不安や疑問を解消し、トラブルを未然に防ぐことができます。
相談窓口は、人事部や社内弁護士などが担当することが考えられます。
相談内容を記録し、適切な対応を行うことで、従業員からの信頼を高めることができます。
相談窓口の設置場所や連絡先などを明確に示し、従業員に周知徹底することが重要です。

 

まとめ

 

今回は、企業の就業規則における副業に関する規定とその運用上の注意点について解説しました。
副業の定義と許可基準、届出と承認手続き、業務時間や秘密保持との関係、社会保険・税金への影響、そしてトラブル防止策について、具体的な事例を交えながら説明しました。
人事担当者の皆様が、自社の状況に合わせて就業規則を整備し、副業に関するトラブルを未然に防ぐ上で、本記事が役立つことを願っています。
副業を適切に管理することで、従業員のモチベーション向上や人材確保にもつながる可能性があります。
ただし、法令や判例を常に確認し、最新の状況を踏まえた対応が求められます。
必要に応じて、社会保険労務士などの専門家への相談も検討ください。
従業員との良好なコミュニケーションを維持することで、副業に関する問題をスムーズに解決できるよう努めましょう。

当社では、企業の実情に即した就業規則の整備をはじめ、副業に関する規定の見直しや導入支援にも力を入れております。
法改正や働き方の多様化に伴い、ルールの曖昧さがリスクにつながる場面も増えています。
D・プロデュースでは、単なる規定の整備にとどまらず、運用面までを見据えた実践的なアドバイスを通じて、安心して副業制度を導入・運用できる体制づくりをサポートします。

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