時間外手当とは?計算方法や注意点法律上の根拠も解説

時間外労働、そしてそれに伴う時間外手当。

会社員であれば、誰もが一度は関わる重要なテーマです。
しかし、その制度や計算方法は複雑で、疑問を抱く方も少なくないのではないでしょうか。
法的な根拠や注意点など、理解しておきたいポイントは数多く存在します。
そこで今回は、時間外手当に関する様々な疑問を解消し、より理解を深めるお手伝いができれば幸いです。

 

時間外手当とは何か

🔸時間外手当の定義

 

時間外手当とは、労働基準法で定められた法定労働時間を超えて労働した場合に、通常の賃金に加えて支払われる割増賃金のことです。
法定労働時間については、原則として1日8時間、1週間40時間とされています。
この時間を超えて労働した分に対して、一定の割合で賃金が上乗せされます。

 

🔸時間外手当の法律上の根拠

 

時間外手当の支払いは、労働基準法第37条第1項に規定されています。
同条項では、法定労働時間を超えて労働させた場合、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内で、割増賃金を支払う義務があると定められています。
1ヶ月に60時間を超えた場合は、超えた時間については通常の賃金の5割以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。

 

🔸時間外手当と残業手当の違い

 

「時間外手当」と「残業手当」は、しばしば混同されますが、厳密には違いがあります。
「残業手当」は、所定労働時間を超えて働いた場合に支払われる手当の総称です。
一方、「時間外手当」は、法定労働時間を超えて働いた場合に支払われる割増賃金に限定されます。
つまり、「時間外手当」は「残業手当」の一部と言えるでしょう。

時間外手当の計算方法

🔸基本給の算出方法

 

時間外手当の計算には、まず基本給を算出する必要があります。
基本給は、月給、日給、時給、年俸など、様々な形態があります。
それぞれの形態に応じて、1時間あたりの賃金額を算出する必要があります。
月給制の場合は、月給を1ヶ月の所定労働時間数で割ります。
日給制の場合は、日給を1日の所定労働時間数で割ります。
時給制の場合は、時給そのものが1時間あたりの賃金額となります。
年俸制の場合は、年俸を1年間の所定労働時間数で割ります。

 

🔸時間外労働時間の算出方法

 

時間外労働時間は、実際に法定労働時間を超えて労働した時間です。
正確な記録を付けることが重要です。

 

🔸時間外手当の計算式

 

時間外手当の計算式は、以下の通りです。
時間外手当 = 1時間あたりの賃金額 × 時間外労働時間数 × 割増率

 

🔸割増賃金の計算

 

割増率は、労働基準法で定められています。
法定労働時間を超えた時間については、原則として25%以上の割増が義務付けられています。
1ヶ月60時間を超えた場合は、超えた時間については50%以上の割増となります。
深夜労働や休日労働の場合は、さらに高い割増率が適用されます。

 

時間外手当の注意点

🔸36協定と時間外手当の上限

 

36協定(時間外・休日労働に関する労使協定)を締結することで、法定労働時間を超える労働をさせることが可能になります。
しかし、36協定にも上限があり、原則として月45時間、年360時間です。
これを超える場合は、「特別条項付36協定」を締結する必要がありますが、特別な事情が認められる場合に限られます。
上限を超えた労働は違法となります。

 

🔸時間外手当に関するトラブル

 

時間外手当に関するトラブルは、労働時間や割増率の計算、記録の不備などが原因で発生します。
正確な記録と、会社と従業員間の明確な合意が重要です。

 

🔸時間外手当の記録と保管

 

時間外労働の記録は、労働基準法により義務付けられています。
労働時間、割増率、支給額などを正確に記録し、一定期間保管する必要があります。

まとめ

 

時間外手当は、法定労働時間を超えて働いた場合に支払われる割増賃金です。
労働基準法に基づき、一定の割増率が適用されます。
基本給の算出方法、時間外労働時間の算出方法、割増率などを理解し、正確な計算を行うことが重要です。
36協定の上限や記録・保管についても注意が必要です。
時間外手当に関するトラブルを避けるためにも、会社と従業員間で労働時間や賃金について明確な合意を形成し、正確な記録を維持することが不可欠です。
不明な点があれば、専門家への相談も検討しましょう。

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