結婚後の職場手続きとは?社会保険・雇用保険・社内手続きを解説

結婚は人生の大きな転機であり、多くの喜びと共に、職場における様々な手続きを伴います。
人事担当者の方々にとって、従業員の結婚に伴う手続きは、スムーズな業務遂行と従業員の円滑な職場復帰を支える重要な役割を担っています。
今回は、結婚に伴う職場での手続きについて、社会保険・雇用保険の手続きから社内規定の変更、給与計算への影響、その他関連事項まで、網羅的に解説します。

 

結婚に伴う社会保険・雇用保険の手続き

🔸健康保険の手続き

 

結婚により氏名や住所が変更になった場合、健康保険の手続きが必要となる場合があります。
マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている従業員であれば、手続きが簡素化されているケースが多く、事業主への届出が不要となる場合もあります。
しかし、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない従業員や、マイナンバーを有していない従業員(短期在留外国人、海外赴任者など)の場合は、事業主が「被保険者氏名変更届」と「被保険者住所変更届」を速やかに提出する必要があります。
健康保険組合の場合は、各組合の窓口に氏名変更届を提出し、新しい保険証を発行してもらう必要があります。
戸籍謄本や住民票の写しが必要となる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
旧姓の保険証は使用できなくなりますので、新しい保険証の発行と同時に回収する必要があります。

 

🔸厚生年金保険の手続き

 

厚生年金保険についても、健康保険と同様に、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている被保険者であれば、届出が不要な場合が多いです。
しかし、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない従業員の場合は、「被保険者氏名変更届」と「被保険者住所変更届」を提出する必要があります。
また、配偶者が被扶養者になる場合は、「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」を提出する必要があります。
被扶養者認定には収入要件がありますので、従業員にしっかり確認し、必要書類を提出するよう促しましょう。
届出は、事実発生から5日以内に所轄の年金事務所へ郵送か窓口持参、または電子申請により提出できます。

 

🔸雇用保険の手続き

 

雇用保険の手続きは、氏名変更の場合、以前は「雇用保険被保険者氏名変更届」の提出が必要でしたが、現在は、被保険者資格喪失届、転勤届・個人番号登録変更届、または各種給付金の支給申請手続きの際に同時に行うことが可能です。
住所変更については、雇用保険では住所の登録がされていないため、手続きは不要です。

社内手続きと情報管理

 

🔸人事異動関連書類の提出と更新

 

結婚に伴い、氏名・住所変更などの届出が必要となります。
多くの企業では、「結婚届(身上異動届)」や「住所変更届」などの書類を用意しているでしょう。
これらの書類を提出してもらう際には、入力ミスを防ぐためにも、電子的なデータで収集するシステムの導入を検討するのも有効です。

 

🔸給与計算への影響と変更手続き

 

結婚により、給与計算に影響が出る場合があります。
氏名変更による給与振込口座の名義変更、通勤手当の見直し(通勤経路変更の場合)、扶養手当の支給開始などが考えられます。
これらの変更は、社内規定に則って速やかに手続きを行い、正確な給与計算を行う必要があります。

 

🔸緊急連絡先等の情報更新

 

結婚を機に、緊急連絡先が変更となる可能性があります。
社員名簿や緊急連絡先名簿などを更新し、最新の情報を反映させる必要があります。

🔸社内システムへの情報反映

 

人事システム、給与計算システム、勤怠管理システムなど、社内システムに最新の従業員情報を反映させる必要があります。
システムへの入力ミスを防ぐためにも、正確な情報更新が重要です。

結婚に伴うその他の手続きと注意点

 

🔸通勤手当の見直し

 

結婚により住所が変更された場合、通勤経路や通勤距離が変わる可能性があります。
通勤手当の支給額を見直す必要があり、社内規定に従って手続きを行いましょう。

🔸扶養手当の申請

 

配偶者が被扶養者となる場合、扶養手当の申請が必要となります。
申請に必要な書類や手続きについては、会社規定を確認し、従業員に適切なガイダンスを行いましょう。

 

🔸税金に関する手続き

 

結婚は税金にも影響を与えます。
配偶者控除などの適用や、年末調整の手続きなど、税務に関する手続きにも注意が必要です。

 

🔸その他必要となる手続きの確認

 

上記以外にも、会社独自の規定や制度に基づいた手続きが必要となる場合があります。
事前に会社規定を確認し、従業員に周知徹底しましょう。
例えば、お祝い金制度の利用、結婚休暇の取得などです。

 

まとめ

 

従業員の結婚に伴う職場での手続きは、社会保険・雇用保険の手続き、社内情報管理、給与計算への影響など、多岐に渡ります。
人事担当者の方は、これらの手続きをスムーズに進めるために、事前に必要な情報を収集し、社内規定を確認しておくことが重要です。
また、従業員への周知徹底を行い、円滑な手続きを進めるようサポートすることが求められます。
電子的なデータ収集システムの導入なども検討することで、業務効率化と正確性の向上を図ることが可能です。
正確で迅速な対応により、従業員の新たなスタートをサポートし、良好な職場環境を維持しましょう。
各手続きの期限や必要な書類については、必ず最新の法令や社内規定を確認し、従業員への丁寧な説明を心がけてください。

当社では、結婚や出産、転居といったライフイベントに伴う職場での手続きについて、企業ごとに異なる就業規則や社内ルールに即したサポートを行っております。
労務管理や社会保険、給与計算など総務・人事業務を専門的に支援することで、従業員と企業の双方にとって円滑な手続きを実現します。
実務に精通したスタッフが、複雑な手続きを確実に対応いたしますので、安心してご相談ください。

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