老齢厚生年金とは?受給要件から計算方法、注意点まで徹底解説

老後の生活設計において、年金は重要な要素です。
特に、厚生年金は老後の生活を支える大きな柱となるため、その制度内容を正しく理解することは非常に大切です。
しかし、厚生年金には様々な制度があり、複雑で分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
特に、60歳前後で老後資金について考え始める世代にとって、老齢厚生年金の種類や受給要件、受給額の計算方法などは、気になる点も多いはずです。

そこで今回は、老齢厚生年金の中でも「特別支給の老齢厚生年金(特老厚)」について、その制度概要から受給手続きまでを解説します。

 

特老厚とは何か?

 

🔸特老厚の制度概要

 

特別支給の老齢厚生年金(特老厚)は、老齢厚生年金の支給開始年齢(原則65歳)を引き上げたことに伴い、60歳から64歳までの間に順次支給が開始される年金です。
老齢基礎年金と異なり、厚生年金保険への加入期間と、生まれた年代によって受給資格が異なります。
現在支給されているのは「報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金」で、国民年金に相当する部分は含まれていません。
昭和24年度以降に生まれた男性と昭和29年度以降に生まれた女性は、特老厚に国民年金に相当する部分は含まれません。

 

🔸特老厚の受給要件

 

特老厚を受給するには、以下の要件を満たす必要があります。

・年齢要件:生まれた年代によって異なります。

・被保険者期間:老齢厚生年金の受給資格期間である10年以上(120ヶ月以上)に加え、厚生年金保険に1年以上(12ヶ月以上)加入している必要があります。

 

🔸特老厚と国民年金との違い

 

特老厚は、厚生年金保険の加入期間に応じて支給される年金です。
国民年金は、国民皆保険制度に基づき、国民全員が加入対象となる年金です。
特老厚は、国民年金に相当する部分(定額部分)が含まれないため、国民年金と直接比較することはできません。
ただし、特老厚の受給資格を得るためには、老齢基礎年金の受給資格期間である10年以上(120ヶ月以上)の加入期間が必要となります。

特老厚の受給額計算方法

 

🔸基礎年金額の計算

 

特老厚の受給額は、主に加入期間と平均標準報酬月額に基づいて計算されます。
基礎年金額は、加入期間に応じて算出されます。
具体的には、厚生年金保険の被保険者期間が長いほど、基礎年金額が高くなります。

 

🔸加算年金額の計算

 

加算年金額は、平均標準報酬月額に応じて算出されます。
平均標準報酬月額が高いほど、加算年金額が高くなります。

 

🔸合計受給額の算出

 

合計受給額は、基礎年金額と加算年金額を合計することで算出されます。

 

老齢厚生年金の受給と在職

 

🔸在職中の受給資格

 

特老厚を受給しながら就労する場合、年金と給与の合計額が一定額を超えると、年金が減額される場合があります。
この一定額は、以前は28万円でしたが、令和4年4月1日より47万円に統一されました。

 

🔸在職による減額の仕組み

 

年金と給与の合計額が一定額を超えた場合、その超過額に応じて年金が減額されます。
減額の開始時期は、社会保険の手続きと連動しており、社会保険に加入した月、または標準報酬月額が変動した月から減額される可能性があります。
標準報酬月額の変動は、算定基礎届の提出(毎年7月)や随時改定によって発生します。

 

🔸受給申請手続きの流れ

 

特老厚の受給申請手続きは、年金事務所から送付される裁定請求書に必要事項を記入し、提出することで行います。
書類は、受給開始月の3ヶ月程前に届きます。
本老厚の申請は、65歳の誕生月に届くハガキで行うのに対し、特老厚はA4サイズの冊子状の書類になります。

まとめ

 

今回は、特別支給の老齢厚生年金(特老厚)の受給要件、受給額の計算方法、在職中の受給に関する注意点、受給申請手続きの流れについて解説しました。
特老厚は、老齢基礎年金とは異なり、厚生年金保険への加入期間と、生まれた年代によって受給資格が大きく異なります。
また、在職中は年金と給与の合計額によって減額される可能性があるため、注意が必要です。
老後資金の計画を立てる際には、特老厚の制度内容を十分に理解し、自身の状況に合わせた適切な対策を講じることをお勧めします。
受給開始年齢や被保険者期間、在職中の減額基準など、複雑な制度内容を理解することで、より安心して老後を迎えることができるでしょう。
不明な点があれば、年金事務所へ相談することをお勧めします。

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