60歳以上従業員の社会保険とは?手続きと注意点

60歳以上の従業員を雇用する企業が増加する中、社会保険に関する手続きや制度の理解は、円滑な労務管理、そして企業の持続的な発展に不可欠です。
特に、60歳を過ぎた従業員の雇用継続を検討する際には、社会保険料の負担や年金受給との関係性、法令遵守といった様々な課題が浮上します。
今回は、60歳以上の従業員の雇用を前提とした社会保険制度について、具体的な事例や対応策を交えながら解説します。
企業の人事担当者の皆様にとって、役立つ情報を提供できるよう努めてまいります。

 

60歳以上従業員の雇用と社会保険制度

🔸60歳以上を雇用するメリットとデメリット

 

60歳以上の従業員を雇用することには、メリットとデメリットの両面があります。
メリットとしては、長年の経験と高いスキルを持つ人材を確保できること、企業のノウハウや知識の伝承がスムーズに行えること、若手社員の育成や指導に貢献できることなどが挙げられます。
また、高齢者の雇用促進は、企業の社会貢献度を高め、企業イメージの向上にも繋がります。

一方、デメリットとしては、社会保険料の負担増加、賃金コストの上昇、健康面への配慮が必要となることなどが考えられます。
また、高齢者特有のスキル不足や技術革新への対応の遅れ、世代間のコミュニケーションギャップなども課題となり得ます。
これらのメリットとデメリットを慎重に比較検討し、自社にとって最適な雇用戦略を立てることが重要です。

 

🔸60歳以上従業員の社会保険加入手続き

 

60歳以上の従業員が社会保険に加入する手続きは、通常の年齢層と変わりません。
雇用契約を締結したら、健康保険、厚生年金保険、雇用保険への加入手続きを行います。
ただし、60歳以降は、年金受給との関係性や、在職老齢年金制度の適用について注意が必要です。

具体的には、標準報酬月額の算定、社会保険料の徴収、保険証の発行といった手続きが必要となります。
これらの手続きは、社会保険労務士などの専門家に依頼することも可能です。
また、従業員への丁寧な説明と、手続きに関する書類の適切な保管も重要です。

 

🔸社会保険料の負担とコスト管理

 

60歳以上の従業員を雇用する際の社会保険料の負担は、従業員の賃金や標準報酬月額によって変動します。
そのため、雇用契約を結ぶ前に、社会保険料を試算を行い、コスト管理を徹底することが重要です。

社会保険料の負担を軽減するための対策としては、雇用形態の工夫、勤務時間や業務内容の見直し、従業員のスキルアップによる生産性向上などが考えられます。
また、人事制度の見直しや、効率的な労務管理システムの導入も効果的です。

 

社会保険に関するよくある質問と注意点

🔸再雇用契約と社会保険

 

60歳定年制を採用している企業では、再雇用制度を設けることが一般的です。
再雇用契約においては、雇用形態や給与体系、社会保険の加入状況などが変更される場合があります。
再雇用後の社会保険加入については、年齢や雇用形態に応じて手続きが必要となるため、事前に確認が必要です。
再雇用契約を締結する際には、社会保険に関する事項を明確に記載した契約書を作成し、従業員と企業の双方が理解を共有することが重要です。

 

🔸年金受給との関係性

 

60歳以上の従業員の中には、既に年金を受給している、もしくはこれから受給する予定の人もいるでしょう。
厚生年金保険に加入している場合、老齢厚生年金の受給開始年齢に達しても、働き続けることは可能です。
しかし、年金と賃金の合計額によっては、在職老齢年金制度により年金額が減額される場合があります。
この制度の適用条件や減額される金額については、事前に年金事務所などで確認する必要があります。

 

🔸70歳以降の社会保険手続き

 

70歳に達すると、厚生年金保険の被保険者資格は喪失します。
しかし、健康保険と雇用保険については、70歳以降も継続して加入することが可能です。
70歳以降の雇用を継続する場合、健康保険と雇用保険の手続きについて、改めて確認し、手続きを進める必要があります。
また、75歳になると健康保険の被保険者資格も喪失し、後期高齢者医療制度に移行します。

 

円滑な労務管理のためのポイント

🔸従業員への丁寧な説明と情報提供

 

60歳以上の従業員は、社会保険制度の変化や手続きに不安を感じている場合もあります。
そのため、人事担当者は、社会保険制度について分かりやすく説明し、疑問点や不安点を解消するための情報提供を行うことが重要です。
丁寧な説明と情報提供によって、従業員の不安を軽減し、円滑な労務管理に繋げることが期待できます。

🔸社内規定の整備と見直し

 

60歳以上の従業員の雇用に関する社内規定は、法令改正や社会情勢の変化に合わせて、定期的に見直す必要があります。
特に、社会保険に関する規定は、常に最新の法令に準拠しているかを確認し、必要に応じて修正することが重要です。
規定の見直しは、法令遵守を徹底し、従業員への公平な待遇を確保するためにも不可欠です。

まとめ

 

今回は、60歳以上の従業員の雇用を前提とした社会保険制度について、加入手続き、社会保険料の負担、年金受給との関係性、そして円滑な労務管理のためのポイントなどを解説しました。
60歳以上の従業員の雇用は、企業にとってメリットとデメリットの両面があることを理解し、それぞれの状況に応じた適切な対応策を講じる必要があります。
社会保険制度は複雑で、法令改正も頻繁に行われるため、常に最新の情報を収集し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めることが重要です。
従業員との丁寧なコミュニケーションを図り、安心して長く働ける環境づくりに努めることで、企業の持続的な成長に繋がるでしょう。
社会保険に関する疑問点や不安点は、早急に専門家へ相談し、適切な解決策を見出すことが大切です。
従業員の幸せと企業の発展のために、社会保険制度に関する正しい知識と対応を心がけましょう。

私たちD・プロデュースは、60歳以上の方の雇用に関わる社会保険の取り扱いなど、法改正や実務の変化にスピーディーに対応し、企業の皆様が安心してご相談いただける体制を整えています。
労務管理・社会保険手続き・給与計算・就業規則の整備といった総務・人事業務を、実務に即した形で一貫してサポートできるのが私たちの強みです。
煩雑で専門的な業務をアウトソーシングいただくことで、本業に集中できる環境づくりを全力でお手伝いしています。

セミナー開催のお知らせ

2020年4月1日(金)に「中小企業経営者のための攻めの働き方改革セミナー」を開催します。

セミナー詳細情報